温泉の知識

源泉かけ流しとは?

今回も引き続き温泉の知識についてお話ししたいと思います。
『源泉かけ流し』を謳っている温泉はよく見かけます。これが書かれていると何となく良い温泉なような気になっていませんか?
今回は源泉かけ流しの意味についてお話ししたいと思います。

源泉かけ流しとは

源泉かけ流しは言葉の通り、源泉である温泉水が掛け流しの状態、つまり循環器具などにより濾過されていないものとするのが一般的な認識とされています。

ですが、実際には団体や地域によって『源泉かけ流し』の意味は異なります。
『加温・加水・消毒を行わない』『循環ろ過設備を使用しない』など定義は示されていますが、明確に統一はされていないのが現状です。

かけ流しの意味

かけ流しの定義は湯水を浴槽の中に絶え間なく注ぎ、再利用せずにあふれさせる状態です。逆の言葉は循環ろ過という方式になります。
かけ流しだけでは沸かし湯か温泉なのかの区別が付きません。
源泉かけ流しとなって初めて「温泉だ」となります。

一般的なかけ流しの定義

上記で述べた源泉かけ流しの意味を理解した上で、源泉かけ流しとは循環ろ過をせず源泉から直接に湯水を引いている温泉と定義されます。

しかしながら、源泉かけ流しを謳っていても温度調節をすることを目的に『加温・加水』している温泉も多く見られます。
ここが曖昧さを生み出しているところであり、『加水・加温』『消毒の有無』によって源泉かけ流しか否か意見が分かれるところでもあります。

源泉100%かけ流し

温泉にいくと『源泉100%かけ流し』という標記を見ることがあります。
源泉かけ流し源泉100%かけ流しは、原理としては同じ方法で浴槽にお湯を供給するものです。しかしながら名称に変化がある理由として、温泉の温度調整のやり方の違いが挙げられます。

日本の温泉には湧出時60℃を超えるような比較的高温な源泉や30℃を下回るような冷たい温泉が多く存在します。
そのため人間が快適に入浴するために適温になるまで湯を冷ましたり、温める必要が生じます。
その方法として源泉に水を加えて冷ます『加水』やボイラーなどを使用して『加温』が行われます。

つまり、加温・加水を行っていない温泉は、そのことをアピールするためにあえて源泉100%かけ流しと呼んでいるのです。

また、湯温を冷ますために一旦貯水槽にためて、適温になってから温泉を供給する方法をとっているところもあります。この場合は源泉100%かけ流しの要件は満たしていると言えるかもしれません。

源泉かけ流しのメリット・デメリットを解説

源泉かけ流しであれば全てが万々歳なのでしょうか。
答えはノー。
意外に思うかもしれませんが、メリット・デメリット両方が存在します。

源泉かけ流しのメリット

源泉かけ流しの一番のメリットは、源泉の成分を損なわず本来に泉質を感じることが出来ることです。

泉質は様々ありますが、それぞれの温泉が本来持っている性質(成分・色・香り・肌触り)を思う存分感じることが可能です。

源泉かけ流しのデメリット

デメリットにはどういうものがあるでしょうか。

①湯あたり

成分が濃い温泉に入ると湯あたりする可能性があります。
また、有名な草津温泉は源泉がとても熱く慣れていないと長時間の入浴は難しいかもしれません。
そのような状態では十分にその温泉を楽しめないでしょう。

本来、温泉に入るのは療養や休養、静養といった目的があると思います。
源泉かけ流しの温泉に浸かるのは、あくまでもそのための手段であります。

あえて加水や加温して、入浴しやすい温度に保ち『源泉かけ流し』を付けずに運営されている温浴施設もあります。これは入浴者のことを第一に考えてのことで、源泉かけ流しでないからと言って評価を落とす必要はないでしょう。

②衛生面

源泉かけ流しは循環ろ過をしないことが大前提ですので、当然循環ろ過を行っている浴槽よりも、浴槽内の湯水の清潔さを保つことが難しくなります。

そこで重要となるのが、源泉の投入量と浴槽の大きさのバランスです。源泉はチョロチョロとしか投入されていないのに、何十人も入れる規模の浴槽ではいかにもアンバランスです。
素晴らしいとされている源泉かけ流しの温浴施設は、このバランスも含めて見事に調整されているなと感じます。

源泉の投入量と浴槽のバランスが取れていれば、一定時間で浴槽内の湯水は入れ代わることになりますので汚れが溜まる心配も少ないでしょう。

源泉かけ流しとは、

循環ろ過を行わず源泉から直接湯水を引き入れていること。

湯水を絶え間なく注ぎ、再利用せずに溢れさせていること。

COMMENT

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA