今回ご紹介するのは、何ともまがまがしい名前を持つ『毒沢鉱泉 神乃湯』さん。
そもそも鉱泉って何?と思われる方もいるだろう。
鉱泉とは一言でいうと湧き水のこと。
環境省が定める「鉱泉分析法指針」では以下のように定義されている。
地中から湧出する泉水で、 多量の固形物質又はガス状物質若しくは特殊な物質を含むか、或いは泉温が泉源周囲の平均気温より常に著しく高温を有するものをいう。鉱泉中、特に治療の目的に供されるものを療養泉とする。
この定義によれば、温泉も鉱泉に含まれることになる。温泉法上は25度以上が温泉、それ未満を鉱泉(冷鉱泉)と区別されている。
毒沢鉱泉はかの武田信玄が金を採掘する際に発見されたとされ、怪我人の治療に利用されていたという。また、戦前には国が売薬として認可を与えていたという歴史がある。
私がこちらを訪れたのは、鉱泉だからという訳ではなく、西日本ではほとんど見かけない酸性泉を堪能したかったからだ。今回は日帰り入浴でお邪魔した。
神乃湯へのアクセス
神乃湯へは国道142号線を使うと良いだろう。
国道142号線は下諏訪町と軽井沢町を結ぶ国道で、下諏訪町側からだと車で10分ほどと至近である。
下諏訪町は有名な諏訪大社を擁し、古くから諏訪大社の門前町として、また中山道と甲州街道が合流する宿場町として栄えた。
諏訪観光と共に訪れるにはちょうど良い。
毒沢鉱泉に到着する寸前にかなりの急坂が待ち構えている。あまりに険しいので道を間違えたかと思うほどだ。車高の低い車に乗られているのであれば注意された方が良いだろう。
神乃湯の設備
![](https://yumegurikikou.com/wp-content/uploads/2022/02/20180502_151640-768x1024.jpg)
坂を上って車を止め、少し奥に進むと黒基調のモダンな建物が見えてくる。近年改装されたのだそうだ。規模は大きくないものの、玄関を入ると館内も今時の和風というか、センス良くまとめられた内装である。祭神、調度品はなかなか興味深いものが飾られていた。
なお、こちらのお宿は日本秘湯を守る会の会員である。
●日本秘湯を守る会のHPはこちらから
風呂は内湯のみ。5、6人は入れるであろう主浴槽は加温循環。一人用の源泉槽からなるシンプルな構成だ。
浴室は大きなガラス窓となっていて周囲の景色を楽しむことが可能で、半露天のような開放感がある。
神乃湯の泉質
神乃湯の一番の特徴はこの泉質だ。
含鉄ーアルミニウムー硫酸塩冷鉱泉というあまり聞き慣れない泉質。pHはなんと2.5で、かなり酸性に振れている。(強酸性はpH2未満、酸性はpH2以上3未満)
![](https://yumegurikikou.com/wp-content/uploads/2022/02/20180502_151147-1-1024x768.jpg)
酸性泉は東日本に多く、有名どころとしては秋田の玉川温泉、山形の蔵王温泉、群馬の草津温泉などが挙げられる。この3つはいずれもpH2未満の強酸性泉だ。
酸性泉の効果としては角質のピーリング効果や肌の殺菌効果が言われるところだ。実際に浸かってみるとピリピリとした刺激を感じることが出来る。
こちらの神乃湯はそこまでの酸性ではないが、口に含むと酸性であることが十分に感じられる(薄いレモン水のような感じ)。また、成分のせいか苦味というかエグ味も感じられた。
広い方の加温循環される浴槽は、循環による湯の劣化などは感じられず、鉄分が酸化してやや茶色がかった色あいだ。成分が濃い温泉特有のズッシリとした浴感がある。
小さい方の源泉がそのまま投入されている浴槽は、湧出時2℃とされる源泉だが体感では10℃くらいはあるだろうと感じられた。(スーパー銭湯の水風呂との比較で恐縮です)
この加温された浴槽と源泉槽で図らずも温冷交互浴が成立する。しかしながら、こちらの温泉は成分が濃いため湯あたりには注意が必要だろう。
私の評価 | |
---|---|
住所 | 〒393-0000 長野県諏訪郡下諏訪町社7083 |
泉質 | 含鉄ーアルミニウムー硫酸塩冷鉱泉 |
営業時間(日帰り入浴) | 10時~21時 (土日祝は15:00まで) |
定休日 | 不定休 |
料金 | 800円 |
入浴施設 | 内湯男女各1、休憩所など |
浴室備品 | ボディソープ、リンスインシャンプー、ドライヤー、ロッカーなど |
最終訪問日 | 2018年5月 |