井上靖の代表作『氷壁』に新穂高温泉の一軒宿が登場するが、実はその宿はこの中崎山荘のことである。
その旅館自体は元々は川の向こう側にあったそうだが、砂防工事のために取り壊され、平成22年に日帰り温泉施設として復活されたということである。
中崎山荘へのアクセス
奥飛騨温泉郷の中でも一番奥まった位置にあり、新穂高ロープウェイも目と鼻の先で北アルプスの3000m級の山々が眼前に迫る抜群のロケーションだ。
私が以前訪れたのはGWの時期であったが、山並みにはまだまだ雪が残され、横を流れる高原川には雪解けの濁流が勢いよく流れていた。
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中崎山荘の施設
建屋は旅館なのかと思うほど外見は立派で、まだ新しさが感じられる。
中に入ると木材がふんだんに使われた内装に温かみが感じられる。
装備が多い登山者のことを想定してか、荷物置き場もあるし広々とした造りになっており、食事処や休憩所も完備されている。
食事処のメニューは郷土料理の朴葉みそ定食や、飛騨牛ステーキ、ラーメン、カレーライス、パスタなどが揃っており、こういうロケーションとしては意外なほど充実している(失礼!)
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建物の奥へ進むと脱衣場がある。
こちらも広々としていることに加え、館内のどこを見ても清潔にされていて気持ちが良い。
洗面所も口数が多く、それぞれドライヤーやアメニティー(化粧水、乳液、綿棒)が備え付けられる。
浴室は内湯、露天風呂、飲泉場、温泉の蒸気によるミストサウナが備わる。
シャワーも口数が多く、混雑時も安心だ。
アメニティーはボディソープ・シャンプー・コンディショナーが用意され必要十分であろう。
中崎山荘の泉質
肝心の温泉であるが、内湯、露天風呂ともに硫黄泉となる。
実は、以前は内湯はアルカリ性単純泉であったものが、平成26年の飛騨地方での地震の後に泉質が変化して硫黄泉になったというのだ。
どうやらそれぞれの源泉の地下水脈が、地震によって繋がったということのようである。まさに大自然のなせる業だ。
内湯は源泉が高温のため地下水がブレンドして供給されており、8:2の比率らしい。
加水されているが薄いという感覚はなく、湯量は豊富で惜しみなくかけ流される。
檜の浴槽にも温泉の成分が付着しており、青白い湯はいかにも濃い硫黄泉と言ったところか。
硫化水素臭もしっかりあり浴感はツルツルしている。
湯の花も大量に舞っていた。
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露天風呂は硫黄泉の源泉100%で掛け流される。
露天風呂は湯の供給方法が独特だ。
竹の小枝を使った衝立に高温の源泉を伝うように流すことで、加水することなく冷ます装置が用いられる。
九州地方の温泉でも事例があるようだが、私は初見であった。
露天風呂も硫黄泉だが内湯とは違い無色透明。
また、香りも内湯より薄く、湯の花もなかった。
内湯に比べるとパンチ不足のようにも思えるが、北アルプスの眺望込みでこちらも魅力十分だ。
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私の評価 | |
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住所 | 〒506-1421 岐阜県高山市奥飛騨温泉郷神坂710 |
泉質 | 単純硫黄泉 |
営業時間 | 9時~18時 |
定休日 | 不定休 |
料金 | 大人900円 小人450円 |
入浴施設 | 内湯男女各1、露天風呂男女各1、食事処、休憩所 |
浴室備品 | ボディソープ、シャンプー、コンディショナー、ドライヤー、ロッカーなど |
最終訪問 | 2018年5月 |