まず初めに、何て読むんだとなるこちらの温泉。
読み方は『うちゆ』だ。
信州の山間にひっそりと佇む田沢温泉にある共同浴場である。
田沢温泉は開湯は7世紀後半と古く、10世紀、金太郎のモデルとなったと言われる源頼光の四天王・坂田金時は、母がこの湯に浸かって懐妊して生まれたという伝承がある。
以来、ここは子宝の湯として有名になり、「はらみ湯」とか「有乳湯」として知られることになったと言う。
めずらしい名前ではあるが、由来を聞くとなるほどと思える。
有乳湯へのアクセス
青木村は三方を山に囲まれた山村であり、松本方面や上田方面からの車でのアクセスの際はドライブには気持ちの良い快走路が続く。
上田市へは車で30分ほどであり、2016年の宝島社出版「田舎暮らしの本」によるアンケートで「日本一住みたい『村』ランキング」の1位となっているようだ。
小さな渓流沿いの道を車で上がっていくと途中から石畳となる。その先に建物が集まっているところが田沢温泉である。有乳湯をはじめ旅館数軒からなるこじんまりとした温泉地だ。かの島崎藤村が長らくこの地に逗留し、小説を書き上げたというますや旅館もこの中にある。
この石畳の道路は道幅が狭く車での離合が困難な箇所もあるので注意されたい。
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有乳湯の施設
石畳の道の奥まったところに見えてくるのが共同浴場『有乳湯』である。
正直、このような小さな温泉地に似つかわしくない(失礼)堂々たる木造造りの構えだ。まだ、築浅と思われこれからますます風情が増してくるものと思われる。
一旦中に入ってしまうとそこは共同浴場、庶民的な雰囲気で気がねするところが無い。
言葉悪く言えばごくありふれた銭湯と言った趣である。
外装との落差が面白く感じられる。
営業は無休で、朝6時から午後9時までとなっており、私が数回訪れた限りは入れ代わり立ち代わりお客さんが訪れていた。
また、料金が大人200円というのもこの温泉のクオリティを考えれば破格だ。
浴室に関しても、奇をてらったところが無く床や壁もタイル張りである。浴槽は大人の男性が7~8人ほど入浴できる大きさとなっている。
この温泉の、何と言っても素晴らしいのがそこに間断なく注がれる温泉そのものだ。
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有乳湯の泉質
掘削自噴450ℓ/分という圧倒的な湯量で、加温・加水・消毒無しでアルカリ性単純硫黄泉がかけ流される。
ザバザバと浴槽からあふれ出す湯使いは圧巻で、ほんのり香る硫化水素臭も温泉好きの琴線に触れるものだろう。
湯温40℃のぬるめの温泉は浴感が非常になめらかで気持ちの良いものだ。
少し浸かっているだけで気泡で体が包まれるのも湯の新鮮さの証か。
ぬるめの温度が心地よく、浴槽に身を沈めて心を落ち着けていると思わず長湯となってしまう。
温泉好きであれば、是非とも一度味わっていただきたい温泉の1つだ。素晴らしい!
共同浴場ゆえ、シャンプー、ボディソープの類は置かれていないのでご留意いただきたい。
私の評価 | |
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住所 | 長野県小県郡青木村田沢2700番地 |
泉質 | アルカリ性単純硫黄泉 |
営業時間 | 6時~21時 |
定休日 | 無休 |
料金 | 大人200円 小人100円(4歳~小学生) |
入浴施設 | 内湯男女各1 |
浴室備品 | ロッカー、ドライヤー |
最終訪問 | 2018年5月 |